【導入】
湊かなえ原作ということで、絶対観たいと思ってた作品です。小説は読んだことないのですが、この方の原作ドラマは大好きな作品が多い。
でも今回は今まで観た湊さん原作の作品とは、かなり雰囲気が違います。湊作品に慣れているほど、この「人間標本」のテイストの違いに戸惑います。
不気味さが前面に出されている感じですね。狂気じみてる感じです。
【実際に観て感じたこと 】
冒頭から不気味さ全開で始まります。なのですぐに物語に引き込まれ、入りやすいです。個人的にはこういう作品が好きで、後半にかけて面白くなる作品は苦手。
結局最後まで観なかったりするんですよね…、そういう作品って。「人間標本」はその点、凄く興味を引く入り方で観やすい作品となってます。
物語は主要な登場人物のそれぞれの視点で、話は展開します。視点が変わるごとに、謎がどんどん解明されていくという流れですね。
特徴としては怖いというよりも、終始まとわりつくような不気味さが印象に残る作品でした。大きな音や過激な演出で驚かせるタイプではない。まあ、結構グロいシーンも出てきますが、驚かせるといった感じではないです。
むしろ静かで、淡々としています。残酷なシーンは独特で、画面の隅々まで整えられた映像美が、逆に人間の尊厳を奪ってる感じがします。見方によっては綺麗にも見えますが、そこが逆に気持ち悪いです。
また怖いのは、登場人物たちが静かに、しかし確実に壊れていく過程が淡々と描かれている点です。
けっして猟奇的な人間ではなく、普通の人たちがです。叫びも号泣とかもないまま、人としての感情が少しずつ削られていきます。
そして徐々に人が壊れていきますが、きっかけとなる決定的な事件は特にない。日常の延長線上で、価値観が歪み、感情が摩耗し、気づいたときにはもう元の場所に戻れなくなっているといった感じです。
その“気づいたときには手遅れ”という感覚が、この作品の怖さですね。この作品は湊かなえ作品に期待されがちな、「共感できる悪」や「身近な恐怖」とは明らかに異なります。ここにあるのは、共感できない狂気と、説明不能な嫌悪感ですね…。
観終わったあとに残るのは、他の湊作品のような感動ではありませんね。それこそが、このドラマ最大の不気味さなのだと思います。
【最後に】
ドラマ「人間標本」は、湊かなえ作品として見ると、明らかに異端だと感じました。これまで描かれてきた日常の延長にある悪意や、共感できてしまう人間の弱さは、ここではほとんど姿を見せません。その代わりに提示されるのは、理解を拒む狂気と、美という概念に歪められた人間の姿です。人間はどこまで残酷になれるのか。そういう怖さがありました。個人的には凄く、楽しめた作品です。
【主なキャスト】
榊 史朗(さかき しろう)/西島秀俊
蝶の研究者で、本作の中心人物。息子を含む少年たちを「人間標本」にしたと衝撃の告白をする教授役を演じる。
榊 至(さかき いたる)/市川染五郎
史朗の息子。現代劇ドラマ初出演となる。父の行動や自らの存在について複雑な感情を抱える重要な役どころ。
一之瀬 留美(いちのせ るみ)/宮沢りえ
世界的画家。一之瀬母娘は物語の鍵を握る存在として描かれる。
一之瀬 杏奈(いちのせ あんな)/伊東蒼
留美の娘。物語に絡む主要キャラクターとして出演。



コメント